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処刑寸前の「アルジャジーラ」

カタール断交で「放送終了」の危機

2017年7月号

 サウジアラビア他がカタールとの断交を電撃発表し、即座に厳しい経済封鎖を始めた直後に、SNS上では、サウジ富豪のアルワリード王子の発言動画が出回った。曰く、「調査の結果、アルジャジーラが『民衆』のチャンネルであるのに対し、アルアラビーヤは、やはり『支配者と政府』のチャンネルであることが分かった」。
 アルアラビーヤはアルジャジーラに対抗してサウジ系資本によって作られた、ドバイを本拠とするニュース専門局だ。今回の騒動ではカタールを非難する大キャンペーンを先導している。
 アルジャジーラとカタールに同情する名もなきアラブの「民衆」によって勝手に切り取られ、拡散された王子の「見解」は、いつ、どのような文脈で発せられたものかは不明で、今次の騒動とは関係がない。それでも、この聡明な大富豪のひとことは、アルジャジーラをめぐる問題の本質を突いている。それはまた、今の湾岸諸国間の政治危機の根本原因でもある。

閉鎖か編集方針の変更

 一九七〇年代に入って相次いで独立した湾岸の首長国では、先行していた他のアラ・・・