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経済

住友不動産が「八重洲再開発」で暴走

「商工中金」と悪質な地上げを共謀

2017年7月号

 東京五輪が開かれる二〇二〇年以降を見越して、日本の「顔」である東京駅周辺で世界に冠たる摩天楼建設計画が着々と進行している。その主役は丸の内を仕切る三菱地所と日本橋を拠点とする三井不動産。その二社の後を追い、八重洲周辺での再開発を主導するのが住友不動産である。その住友不動産が差配する街区には、不正融資問題で揺れる政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)本店ビルが含まれ、住友不動産に対する商工中金からの巨額の不正融資疑惑が発覚。このビルを再開発の対象から外すよう求める地元の地権者や中央区と対立して、住友不動産によるこのエリアの再開発は暗礁に乗り上げかねない情勢だ。
 日本最大のオフィス街として歴史と伝統を誇る東京駅周辺は二〇〇〇年代に入り、まず丸の内で大規模な再開発事業がスタート。今や瀟洒な高級ブランド店が立ち並び、外国人観光客の姿も多い。その開発の波は大手町、そして八重洲へ及ぶ。政府は一六年五月、東京都都市再生プロジェクト(東京圏国家戦略特別区域)の一つとして八重洲エリアを追加。都市計画法などの特例対象となり、都市計画決定や着工までの手続きの迅速化、金融・税制面での支援が・・・

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