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経済

《企業研究》武田薬品工業

今や実態は「三流投資ファンド」

2017年7月号

 大阪・浪速区の大阪府立体育会館で六月二十八日開催された武田薬品工業の二〇一七年定時株主総会。OBや創業家の一部とみられる十五人の株主から提出されていた、長谷川閑史会長の“解任”と相談役就任阻止を求めた株主提案は結局、半数を超える賛同が得られず、「反対多数」で退けられた。
 会社側は四月十三日、長谷川会長が今株主総会後に退任し、相談役に就任すると発表していた。しかし株主らは①最近五年間のROE(株主資本利益率)平均が約三%と低収益が続いている②一兆一千八百億円で一一年にナイコメッド(スイス)を買収した成果が検証されておらず、過去五年間に計上した一千七百億円の減損損失に対する説明が不十分③高血圧症治療薬「ブロプレス」の誇大広告問題に対する責任の所在が曖昧―などとして、これに異議を表明。相談役や顧問の設置・選任を定めた定款十六条二項を変更して制度を原則廃止するか、設置する場合は株主総会の決議事項とするとともに、長谷川氏には「退任」ではなく、あくまで「解任」を求めると提案していた。要するに「コイツに花道は飾らせない」というわけだ。
 六月に入るとさ・・・