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「北朝鮮は核保有国」米議会に承認構想

日韓を裏切る「融和策」の悪夢

2017年8月号

 ワシントンの空気が、変わった―。最近、米国を訪れた日本の外交官や研究者らが異口同音に口にするのは、北朝鮮が進める核弾頭の小型化と、ワシントンやニューヨークまで射程に入る大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発阻止は、もはや手遅れとの諦観が広がっていることへの懸念だ。その先には、米国が同盟国の日本や韓国を見捨てるという悪夢がある。
 七月十八日、自民党幹事長の二階俊博ら訪米議員団一行に、米連邦議会下院の軍事委員会委員長を務める共和党のマック・ソーンベリーは「今や米国にとって北朝鮮の核は、ロシアやテロ以上の脅威になっている」と打ち明けた。北朝鮮が「ICBM発射に成功した」と宣言した同月四日の長距離弾道ミサイル発射実験を受け、局面が変わったことを強調したものだが、二階は紋切り型の応答要領を読むばかりで、大統領のドナルド・トランプを支える共和党の変化を感じ取れなかったようだ。
 一九九〇年代前半、北朝鮮のプルトニウムによる核開発の動きが発覚し、当時のビル・クリントン政権(民主党)と金正日政権が「米朝枠組み合意」で核危機を回避してから四半世紀近く。九四年の枠組み合意は結局、核開・・・