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習近平「後継者潰し」の苛烈

孫政才「失脚」で激化する三大派閥抗争

2017年8月号

 今年秋の中国共産党大会の前哨戦が、火蓋を切った。
「孫政才・重慶市党委書記が重大な規律違反の疑いで党中央規律検査委員会の調査を受けている」。七月二十四日夕、国営新華社通信が伝えた僅か四十字余りのニュースが党内に大きな衝撃を与えた。
 胡春華・広東省党委書記(五十四)と並び、次世代指導者の最有力候補だった今年五十四歳の孫氏の失脚が確定したのだ。党関係者によると、孫氏は七月十四日、北京の全国金融工作会議に出席した帰途、党中央規律検査委員会に拘束され、市内にある党中央委員会の施設、京西賓館に連行された。
 六十八歳定年の党慣行を曲げて、総書記三選を視野に入れる習近平国家主席(六十四)が先手を打って、ライバル派閥である上海閥(江沢民派)、共青団(胡錦濤派)に対して、権力闘争を仕掛けたのだ。
 次期党大会は、従来の派閥争いの枠を超えて、前記二派と習近平派を加えた三つ巴の「乱闘」必至の情勢となった。
 孫氏拘束と同じ日には、孫氏の妻、胡穎氏も北京市の自宅から連行された。孫氏の三人の秘書は、それぞれ北京と重慶で身柄を拘束された。当初は「任意」の事情・・・