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政治

石破vs農水次官 「漁業改革」の暗闘

「ポスト安倍潰し」で官邸の策謀

2017年9月号

 七月十七日「海の日」の午前。石破茂・自民党元幹事長は、東京港・晴海埠頭に係留された水産庁の漁業取締船「白竜丸」と「東光丸」の船上にいた。自他共に認める「軍事オタク」の石破氏は、海洋秩序を維持する上で、海上自衛隊や海上保安庁に肩を並べる水産庁の役割に深く感動したという。
 昨年夏の内閣改造で、閣外に去った石破氏は、政府や自民党の要職と無縁と思われてきたが、例外が一つだけある。昨年九月に自民党政務調査会の水産部会水産基本政策委員長に就任した。「政調会長を経験している石破さんにとって三段落ちのポストであり、あまりにも失礼」(水産部会関係者)と、従来の「水産基本政策小委員会」から「小」を削除した。自民党の水産関係の合同会議では、中央に石破氏、左右に浜田靖一・水産総合調査会会長と鈴木俊一・水産政策推進議員協議会会長を従え、次いで中西祐介・水産部会長という序列で迎えた。
 そうまでして自民党水産部会が石破氏を必要としたのは、水産業界、とりわけ漁業協同組合(JF)の基盤となっている沿岸漁業関係者の危機感が高まっているからだ。かつては鈴木善幸元首相や浜田幸一元衆院予算委員長らを輩・・・