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経済

「崖っぷち」のイオン銀行

違法融資「横行」と金融庁の監督責任

2015年2月号

 悪あがきとは、こういうことを言うのかもしれない。小手先の利益確保に奔走し続けるイオン銀行の経営実態である。その状況はある同銀行関係者をして「崖っぷち」と言わしめるほどだ。グループの総帥、岡田元也氏が君臨するイオン王国の一角が揺らいでいる。  二〇〇七年十月の開業以来、赤字決算続きだったイオン銀行が突如、黒字転換したのは一二年三月期決算である。開業から五期目で、ようやく収益基盤が安定したかにみえたが、実はこのときから、イオン銀行のドロ沼経営が始まっていたのだ。それは銀行業に本来求められる地道な収益確保とはほど遠い「錬金術路線」へのアクセルであり、今も暴走は続いている。 「資産切り売りのタケノコ生活」  一二年三月期の黒字転換に話を戻すと、一一年末、イオン銀行は経営破綻した旧日本振興銀行を買収していた。黒字転換はこの旧日本振興銀行の貸出債権を一挙に回収したからだった。実は、経営破綻した旧日本振興銀行の譲渡に向けて、預金保険機構は同銀行の貸出資産に、正常先債権にすら二五%という高水準で貸倒引当金を積んでいた。イオン銀行は買収するや、その債権の回収を集中的に行・・・