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経済

《地方金融の研究》 島根銀行(島根県)

天下り「妖怪老人」が牛耳る最悪地銀

2017年9月号

 親藩松平家の城下町として知られ、江戸情緒そのままに武家屋敷や商家などが立ち並ぶ島根県松江市。宍道湖と中海やそれをつないで流れる大橋川に囲まれ、「水の都」とも呼ばれている。
 そんな松江市の玄関口、JR山陰本線松江駅の北口に昨年十一月、街の景観を一変させるかのような威容を誇る高層ビルが出現した。高さ六十六メートル、地上十三階地下一階建て。延床面積は一・二万平方メートルを超える。県東部や隣接する鳥取県西部などを地盤とする第二地銀、島根銀行の新しい本店だ。かつて取得していた用地に二〇一四年秋から建設を進めていたもので、総工費は上物だけで五十八億円。今年二月に全面移転が完了し、営業を開始した。
 旧本店は通称「小マンハッタン」と呼ばれる大橋川沿いの中洲にあった。周囲はオフィス街というより、飲食店街。築五十年超とあって老朽化が進み、地上三階建てで銀行の本店とは思えないほど目立たない存在だった。収容能力もなく、そのため「本部機能も四カ所に分散配置せざるを得ず、なかなか業務効率が上がらなかった」(島根銀幹部)という。その意味で新本店は〈しまぎん〉マンらにとって「悲願」(関係者)・・・