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イランがあざ笑う「トランプの恫喝」

シーア派「勢力拡大」が着々

2017年11月号

 ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスで、イラン核合意について、イランが順守しているとは「認めない」と断定し、ミサイル開発やテロ支援について罵ったのは十月十三日のことだった。
 その二日後、イランの「イスラム革命防衛隊」の精鋭組織「コッズ部隊」を指揮する、カセム・ソレイマニ司令官が、イラク北部クルド自治政府(KRG)の主要都市、スレイマニア市を極秘訪問した。同市を拠点とするクルド愛国同盟(PUK)の幹部たちに、司令官は厳しい警告を伝えた。
「アバディ(イラク首相)を甘く見るな。彼がひとたび決心すれば、お前たちをキルクークから、山の中に追いやるのは簡単だ」
 クルド人たちは言葉を失った。
 PUKと、そのライバルでマスード・バルザニ自治政府議長が率いるクルド民主党(KDP)は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との戦争初期の二〇一四年六月に、イラク政府軍が撤退した後キルクークに入った。クルド勢力はその後、三年以上キルクークを死守し、今年九月二十五日のクルド独立を問う住民投票では、キルクークでも投票が行われた。
 ソレイマニ司令・・・