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アジア「女性誘拐ビジネス」の隆盛

中国・インド「花嫁不足」が背景

2017年12月号

「三十二人のベトナム人女性を当局が救出」―。
 今年二月、中国当局はベトナムと国境を接する雲南省の山村で、大規模な女性誘拐・人身売買組織を摘発したと発表した。逮捕者は七十五人で、当局は「人身売買組織を壊滅させた」としたが、問題はこれが氷山のごく一角に過ぎないことだ。
 世界の二大人口大国である中国とインドは、どちらも数千万人単位の花嫁不足を抱えており、特に農村部では結婚適齢期の女性不足が深刻で、どこの地域にも花嫁誘拐業がある状態だ。
 中国の場合ベトナムなど東南アジア各国、モンゴルなど近隣諸国との間で、外交問題に発展している。

狙われる国境地帯の少女たち

 中国当局が「解放」と発表したのは雲南省の山村の施設に拘束されていた女性たちで、大半が十代半ばから二十代後半だった。
「明らかな集団監禁事件なので当局は捜査したが、少人数の女性を拉致し、人身売買する事案は全く手つかず。村全体が人身売買を隠蔽するところが大半ではないか」と、在北京大手紙特派員は言う。中国当局の発表では、年・・・