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経済

製薬会社と医師「薬価詐取」の底なし

臨床研究不正を放置する厚労省

2017年12月号

 人の生死を預かる高潔であるべきドクターや病院が中外製薬から巨額の寄付金を受けながら、そのカネでは臨床研究に使う医薬品を購入せず、健康保険に請求している―。その詐取的な悪行を暴いた本誌先月号の指弾は医療の現場に波紋を広げた。だが、白日の下にさらされた一般社団法人JBCRG(代表理事大野真司・がん研究会有明病院乳腺センター長)による「CREATE-X」という臨床試験の醜悪は氷山の一角で、医師たちが同様の手口で製薬会社と健保から「両手商売」を繰り広げている実相が判明した。大規模な病院には巨額の補助金が投入され、国立病院機構などの中核病院では、厚生労働省から出向中の医系技官が実務を取り仕切る。このまま放置すれば、国家ぐるみの「保険金詐欺」とのそしりは免れない。
 JBCRGでは新たな不正請求が見つかった。例えば、大阪大学の乳腺・内分泌外科学講座の中山貴寛氏が責任医師を務める「ホルモン感受性の進行乳癌におけるレトロゾール、サイクロフォスファマイドおよびカペシタビン併用療法の第Ⅱ相試験」なるもの。二〇一一年十月に始まり、一九年九月まで続く。中外製薬のカペシタビンを手術前に投与するが、そ・・・