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政治

霞が関を腐らせた「政治家の劣化」

保阪正康(現代史研究家)

2018年4月号

 ―佐川宣寿前国税庁長官の国会証人喚問をどう見ましたか?

 保阪 政治家や官僚は、自分のしたことについて、「時代に責任を持つ」か「歴史に責任を持つ」かを、選ばなければならない。自分がその時代に必要なことをしたのか、歴史の審判に耐えられるか、だ。ところが佐川氏は「逃げ」という第三の道を選んだ。自分の身を守ることしか考えていない。
 喚問は、今の官僚機構がこういう人しか育てていない、霞が関はこの程度だということを国民に示したと思う。答弁や仕草から見て、この人がなぜこんな地位にまで出世できたのか。日本の官僚の劣化をまざまざと示した。

 ―なぜ劣化したのですか?

 保阪 若い財務官僚たちと話した時に、優秀なのに、ビジョンや想像力が欠けていると感じた。青春時代に、文学を読んで人間心理や感情の理解を深めたり、歴史書を読んで教訓を得たりといった経験がない。そんなことをしていたら、東京大学に入・・・