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南北朝鮮「融和」の虚実

脱北者を抑圧する文在寅の「裏の顔」

2018年6月号

 五月十一日、韓国・JTBCテレビが二〇一六年四月に起きた集団脱北事件を検証する番組を放映した。番組では、北朝鮮が中国で経営していた柳京食堂の支配人だったホ・ガンイル氏が、韓国の情報機関、国家情報院に脅迫されて女性従業員十二人をだまして韓国に連れてきたと証言した。韓国統一省の白泰鉉報道官は十四日の記者会見で、この証言が事実かどうかを調査する考えを表明した。韓国の左派系弁護士団体も五月十四日、脱北劇を拉致だと非難する記者会見を開いた。
「文在寅政権は従業員たちを北に送り返すつもりではないか」。脱北者の一人は声をひそめて語る。北朝鮮は事件発生以来、事件は韓国による拉致だったと主張し、「娘を返せ」と訴える家族らの証言を国営テレビで放映。韓国政府が、朝鮮戦争で生き別れになった南北離散家族の再会事業を進めようとすると「十三人の送還が先だ」と迫ってきた。脱北者たちの間では、文政権が南北関係を進めたいあまり、北朝鮮のこの主張を認めるのではないかとささやかれている。
 実態はどうだったのか。情報関係筋によると、国家情報院が手助けをした事実はあったが、十三人全員が韓国行きを納得したう・・・