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経済

JXTG「杉森独裁」が抱える火種

迫る「粛清の嵐」と内紛の予兆

2018年6月号

 独裁の開幕か、あるいは内紛の序曲か……。四月二十四日、石油元売り最大手、JXTGエネルギーを傘下とするJXTGホールディングス(HD)が発表した首脳人事は、多くの石油関係者に不審の念を抱かせた。
「大田? 誰だ、それ」
 JXTGHDは六月、会長の木村康が勇退、後任に社長の内田幸雄が就き、社長にはJXTGエネ社長の杉森務が持ち上がる。ここまでは既定路線であり、いよいよグループ総帥へ上番する旧日本石油出身の販売部門の領袖、杉森の独裁が再認識されたが、焦点はむしろ、杉森の後継人事だった。下馬評に挙がった人材はいずれも“帯に短し、襷に長し”。社内が固唾を呑む中、発表された元売り最大手の次期社長は、JXTGHD経理担当常務の大田勝幸である。
 経理畑一筋の大田は、決算発表の場でメディアには知られていたものの、販売現場ではほぼ無名の存在。杉森とも「持ち株会社の取締役会で顔を合わす程度」(幹部)という。そのダークホースに、杉森子飼いのJXTGエネ幹部たちは出し抜かれた格好だ。販売部門の一部では、この人事は勇退する木・・・