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トランプ政権が米国有地「大量乱売」

環境保護は無視して「カネ儲け」

2018年7月号

ドナルド・トランプ米大統領の閣僚は変わり者ぞろいだが、ライアン・ジンキ内務長官は奇行も政策も際立っている。国務・国防長官に比べて目立たないポストながら、内務省は、米国の面積の五分の一に当たる土地を管理する重要官庁だ。ジンキ長官は、その貴重な国有地を、石油・石炭など資源採掘企業に、史上例のないスピードで格安売却しているのだ。

「掘削業者ファースト」

 ジンキ長官は史上初めてモンタナ州出身者として閣僚に就任した。海軍のエリート特殊部隊「SEALs(シールズ)」のOBとしても、初入閣だ。一メートル八十八センチの巨体で、それだけでも目立つのに、乗馬で初登庁して庁内の職員を驚かせた。
 政策はさらに規格外である。
 内務省は、国土保全の問題で常に、資源開発企業と環境保護活動の間にはさまれる。ジンキ長官はあらゆる課題で、ことごとく企業の立場につき、歴代政権の環境保護政策を掘り崩している。
 しかも、動きは迅速だ。
 トランプ政権発足からわずか三カ月後の昨年四月、過去二十年間で指定さ・・・