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イランとイスラエル「諜報戦」が過熱

核施設や要人を狙う醜い争い

2018年7月号


 中東の軍事大国イランとイスラエルがスパイ戦争を激化させている。イスラエル側は、核開発科学者の暗殺、核情報のハッキング、政府施設へのサイバー攻撃と手段をますます多様化させるのに対して、イランも遅まきながらサイバー攻撃やスパイのリクルート、海外でのイスラエル要人攻撃と対抗措置を急いでいる。
 
核科学者の暗殺作戦が復活
 
「次の9・11(=米同時多発テロ事件)は、イランのエネルギー部門だ」―。こんな物騒な発言が六月中旬、イスラエルの元ハッカー部隊幹部から飛び出した。
 同国内で開催されていた安全保障問題の会議で、イスラエル参謀本部の「8200部隊」を率いていたエフード・シュネローセン氏は、「イスラエルは倫理上の見地から、食糧や水、医療分野を狙わない。我々が狙うのは、イランのエネルギー部門だ」と語った。
 同部隊は、「米国の国家安全保障局(NSA)のイスラエル版」と異名をとる、エリート・ハッカー集団。二〇一〇年に発見されたマルウェア「スタクスネット」を操って、イランのブシェール原子力・・・