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政治

財政秩序を「放棄」した財務省

国難招く「次官人事」の全真相

2018年8月号

 事務方トップとナンバー2が、そろって不在だった財務省の人事がようやく決まった。
 森友学園の公文書改ざん問題で佐川宣寿前国税庁長官が辞任したのが三月。一カ月後に福田淳一前事務次官もセクハラ問題で辞任し、以来三カ月。空白期間の長さは異常だった。しかも、その間、次官人事を巡ってあらぬ観測が飛び交う混乱ぶりに「官庁の中の官庁」の威風は跡形もない。
 決着してみれば、不祥事が起きる前から次期事務次官の本命だった岡本薫明主計局長が順当に昇格。公文書改ざん問題の後始末で有名になった太田充理財局長も、次の次官候補として主計局長に栄進した。あたかも何事もなかったかのような旧体制に復し、人事序列は守られたとも見える。
 これを、さすが財務省、したたかに乗り切ったなと感心するのは見方が浅い。財務官僚は自分たちの人事秩序を死守しようとするあまり、財政秩序を預かる官吏としての魂を安倍官邸に売り渡したからだ。自己保身を最優先する亡国の徒に成り下がった。見かけ上の役所体制は保たれても、空前の異常事態で負った傷は、いずれ財務省権力の瓦解を招くだろう。

また菅に敗れた麻生・・・