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社会・文化

慶應医学部「系列校進学」に情実疑惑

学部長の息子「合格」の裏技

2019年1月号

 私立大学医学部の不正入試問題が底なしに広がっている。文部科学省が昨年十二月半ばに公表した緊急調査の結果によれば、八十一に上る全医学部のうち、九校が「不適切」と認定された。明るみに出た実態は、女子や浪人の受験生に対する差別、OBの子弟の優遇である。この中には、入学偏差値で私大医学部の最高峰に君臨する慶應義塾大学医学部は含まれていないが、実はこの名門でも「不正な情実入学が問題視されている」という内部情報がもたらされた。
 文科省の調べで不適切と認定されたのは、岩手医科大学、東京医科大学、昭和大学、順天堂大学、日本大学、北里大学、金沢医科大学、神戸大学、福岡大学の九校。問題視されたのは全体の一割強だが、私大医学部入試の内情を知る医師は「これは氷山の一角にすぎない」と断言する。

不透明な「研究医養成枠」
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「慶應義塾大学医学部一般入学試験に関して、不適切と考えられるような事案はありません」。私大医学部入試の不正の闇が表面化した昨年秋、慶大はこんな声明を発表した。だがそれは、語るに落ちる文言で、・・・