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政治

首相候補には程遠い「世耕弘成」

《政界スキャン》

2019年2月号

 大学入試真っ盛り。十八歳人口は減少期に入っている。定員割れする大学もある中で昨年、一般入試の志願者数が十五万人を突破し五年連続日本一となったのが近畿大学(東大阪市)だ。過去十年で志願者倍増、二位以下の法政、明治、早稲田、東洋大といった老舗を抑えての成長株である。
 創設者一族の世耕弘成経済産業相が理事長だった二〇一一~一三年に急躍進を始めた。第二次安倍政権の内閣官房副長官就任後、理事長は退いたが、大学総務部長の実弟を介して今も世耕氏が最高実力者として君臨する。
 躍進の秘密は何か。他大学関係者が苦笑交じりに舌を巻く。
「教育の中身より、とにかく人集めの広報・ネット戦略を駆使したワザの勝利。実志願者数では上位十位にも入らないんだから」
 どういうことか。志願者数は、一人の受験生が同じ大学の複数の学部に出願したり、同学部でも異なる入試方式で申し込めば、一件ごとに一人と数える延べ人数だ。同一志願を一人と数える実志願者数だと、近大は一気に三万人へ激減し、十一位に下がる。他に先駆けて受験料割り引きのネット出願を導入し、ワンクリックで複数学部に出願できるな・・・