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経済

関西電力が「新電力潰し」で大暴れ

原発再稼働で「地域独占」維持を画策

2019年3月号

 電力自由化からまもなく三年。新たな選択肢として育ち始めた「新電力」が今、ピンチだ。
 電力業界でもえげつなさで知られる関西電力が、原発再稼働で生み出した利益を回して、異常な値引き攻勢で新電力の契約を奪いまくっているからだ。再生可能エネルギーの普及や地域での自給・調達を目的に、自治体が出資や支援している新電力も多いが、すでに経営の見通しが立たなくなっている事業者も出始めた。関電は「正当な企業努力」と突っぱねるが、これがまかり通れば電力自由化も再エネ普及もなにもかも成立しなくなる。新電力側の抗議を受けた経済産業省は「ぎりぎりセーフ」と逃げ腰の判定。このままでは数年後に新電力が淘汰され、価格決定権を取り戻した関電が再び値上げ―という悪夢のシナリオも見えてきた。

地方政治の背後で蠢く

 関電のお膝元、大阪府の泉佐野市。市も出資する「泉佐野電力」は昨年九月以降、有力な契約を九件、関電に奪われた。市の支援を受けているとはいえ、託送料金や電源調達費用、営業費用などを考慮すれば従来の電気料金から一〇%の値引きが限・・・