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政治

《罪深きはこの官僚》中岡 司 (文化庁次長)

著作権法「改悪」を企てた首謀者

2019年4月号

 守られるはずの漫画家などが反対声明を出す事態にまで発展した著作権法改正は土壇場で回避された。しかし強引に法案を通そうとした役人はいまだに諦めていない。
 本来は海賊版の漫画サイトのダウンロード対策から始まったはずの議論が、スマートフォンの単純な画面保存であるスクリーンショットについても違法化するという危険な法案に変容した原因は文化庁の官僚にある。中でも現場の担当トップとして陣頭指揮をとり、国会議員を騙してまで法案提出を急がせた戦犯として名指しされるのが文化庁次長の中岡司だ。
「政府として考えられる対策を総動員して、一刻も早く被害の拡大を防止する責務がございます」
 二月十三日に開催された文化審議会の著作権分科会の席上、中岡はこう発言している。これだけを切り取るとさも当然のことを言っているようだが、この時点ですでに反対論は噴出しており、中岡の言は「こうした意見は無視して進めろ」ということと同義だ。ここに至るまでの議論の進め方もひどかった。主戦場となったのは前述した著作権分科会の下部に設けられた法制・基本問題小委員会だった。昨年六月に開かれた第一回会合の冒頭・・・