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経済

高砂熱学「羽田空港欠陥工事」の泥沼

補修後も不十分な耐震措置

2019年4月号

 本誌昨年六月号では「羽田空港国際線ターミナル―天井施工で重大な『手抜き欠陥工事』」というタイトルで、当該ターミナルで行われた杜撰な手抜き工事の全容を詳細にレポートした。
 この工事に直接携わった現場幹部が裁判の法廷で手抜き工事の実態を証言する一方、施工業者自らが、手抜き工事の資料を裁判所に提出するという前代未聞の事態が繰り広げられた。
 日本の表玄関であり、来年の東京オリンピック・パラリンピックでは世界各国の代表団や応援客を迎える国際空港のターミナルで行われた手抜き工事。東日本大震災クラスの地震が東京を襲った場合、どれほどの被害となるか、想像するだけでも恐ろしいとまで、当時の工事現場幹部は証言している。これほど確たる証拠が公になっていながら、新聞、テレビなど大手メディアは沈黙を続けた。数カ月後、ようやく大手数紙が耐震性不足という観点から記事を書いた。
 日経新聞は昨年十月二十二日付朝刊で「羽田空港国際線ビル、天井裏の配管 七年半耐震性不足」という見出しで次のように書いた。
「羽田空港の運営会社が今年六月に事態を把握し、国際線ターミナルビルを建設・・・

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