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経済

猛威をふるう 「旧村上ファンド」

証券監視委も恐れぬ「濡れ手で粟」

2019年5月号

「最早、暗躍ではなく“明躍”だ」。市場関係者の間からはこんな声も上がる。新明和工業、マクセルホールディングス(HD、旧日立マクセル)、廣済堂にヨロズ……。村上世彰氏率いる旧村上ファンド系投資会社の動きが今年に入って一段と活発化している。
 背景にあるとされるのが、証券取引等監視委員会に対する昨年四月の「逆転勝利劇」(金融筋)だ。アパレル大手、TSIHD株の売買を巡り、村上氏の相場操縦の疑いが強まったとして二〇一五年十一月強制捜査に踏み切った監視委に対し、弘中惇一郎弁護士を立てて対抗。その言い分を認めさせ、食い下がる監視委を最終的に「刑事告発断念」へと追い込んだのだ。
 これには村上氏も痛快感を隠せなかったに違いない。以降、まるで当局の“免罪符”でも得たかのように大手を振って市場に戻ってきたというわけだ。実際、一八年五月には系列のオフィスサポートなどを通じて船舶用塗料世界二位、中国塗料の発行株六・三五%を握って株主還元拡大を要求。経営陣に二〇年度までに百億~百五十億円の自己株買いを公約(すでに・・・