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連載

広告を裏読みする 第5話

令和「号外」で一儲け狙った電通
本誌編集部

2019年5月号

 昭和から平成の時とはまったく異なる令和の幕開け。天皇崩御による自粛ムードや報道特別番組ラッシュもなく、五月一日に平穏なまま時代が移り変わる。
 しかし、一カ月前の新元号発表ではメディアが率先して騒動を作り上げた。大事件や災害の際にも通常放送を続けることで有名なテレビ東京までが特別編成で菅義偉官房長官の元号発表会見を生中継して、一種異様なまでの空気が醸成された。新聞各社は主要駅や街頭で号外を配布し、その号外がネットオークションで高値で取引されるなど、国全体が新元号に群がった。
 突発的事案が起きたときに配布される新聞の号外。しかし今回は従前から発行日が決定していたという点で異例中の異例といえる。「五輪開催中に金メダルが出たときに備えて態勢を整えることはあるが、事前にここまで周到に準備できるケースはほとんどない」(全国紙関係者)。
不興を買った「パイロット版」
 ここで一儲けを企んだのが国内最大の広告代理店、電通だ。というのも、号外が出ることが確定している上に、事故や災害とは異なり新元号発表という「明るいニュース」を報じるため、紙面に広告が掲載でき・・・