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経済

製薬会社と「皮膚科」の 邪な錬金術

医療費「無駄遣い」の秘かな温床

2019年6月号

 東京大学医学部附属病院の皮膚科が学生の勧誘で使う常套句がある。それは「皮膚科はいいぞ。急患が少なく、真面目にやっていれば、最後は教授になれる」。東大で教授になれるのは一握り。ゆえに、東大生にとって、どこかで教授ポストが確約される皮膚科は魅力的だ。関東にある十九の私大医学部のうち、十五は他大学から主任教授を迎えている。出身大学で最多は東大の八人で、二位の慶應義塾大学の二人を圧倒する。はっきり言えば、関東の皮膚科は東大の独壇場。だが、そのタコ壺化こそ製薬企業との根深い癒着の温床で、血税を垂れ流す元凶なのだ。

ヒルドイドの大量処方

 古今東西、独占は腐敗を招く。東大とて例外ではない。具体的には製薬企業との癒着だ。医療ガバナンス研究所などの調査によると、二〇一六年度に製薬企業から講演料などを最も受け取った皮膚科医は、中川秀己・慈恵医大教授で一千七百六十九万円。川島眞・東京女子医科大学名誉教授=一千五百六十九万円、五十嵐敦之・NTT東日本関東病院皮膚科部長=一千百五十五万円、佐藤伸一・東大教授=一千二十一万円と続く。・・・