三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

《罪深きはこの官僚》大石吉彦(警察庁警備局長)

安倍演説 「ヤジ強制排除」を主導

2019年8月号

 戦後、民主警察として出直したはずの我が国の警察は、自民党のガードマンに成り下がったのか―。参議院選挙期間中に北海道で起きた事件は、自民党からも批判が出るほど異様な出来事だった。
 選挙戦中盤の七月十五日、札幌市内で安倍晋三首相の演説中、私服、制服合わせて十人ほどの警察官がヤジを飛ばす男性を取り囲んだ後に押さえ込み、現場から排除した。これについて、法曹界などから「職権濫用の疑いがある」という声明が出され、自民党内からも「やりすぎ」との声が上がった。
 今回の警察官の対応について、「上から指示されていたわけではなく、現場で少し熱くなってしまったのだろう」(警察関係者)と、かばう向きもある。北海道の件だけであればその弁護も通用するだろうが、実はそうではなかった。
 北海道で事件が起きた前日の十四日、新潟駅南口で自民党候補の街頭演説が行われた。そこに登場したのが小泉進次郎議員。観衆も大勢集まり、こちらは目立った混乱はなく応援演説が終わった。しかしその直後、小泉氏に駆け寄ろうとしたジャーナリストを、新潟県警の警察官が妨害したのだ。駅構内でコメントを求めようとするジ・・・