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EU諸国に満ちる 「英国は早く出ていけ」

「合意なき離脱」に準備着々

2019年10月号

「頼むから、英国は早く出て行ってくれ」―。欧州連合(EU)の大陸諸国がいっせいに「合意なき離脱」を含めた、英国の早期離脱に向け動いている。
 ボリス・ジョンソン英首相の党利党略むきだしの奇策に嫌気が差したものだ。欧州委員会と大陸各国政府は九月末までに、緊急対策法制の整備を終えた。英国への不信があまりに強まると、離脱実現後の防衛・警察協力にもマイナスの影響は避けられない。
 EU諸国の現在の対英感を強くにじませたのは、歴史的に「親英」のオランダである。
 九月上旬に、英議会が、ジョンソン首相の意向に反した形で、「離脱期限を翌年一月三十一日までに延長する」ことを議決すると、シフリット・カーフ貿易・開発協力相は、「もううんざり」と、英政界の動きをバッサリ切り捨てた。
 さらに同相は、「何の展望もないまま、はっきりしない状態が続くのが一番困る。(合意なしの)悪い結果でも、はっきりしているほうがましだ」とも述べ、EUは対英交渉に早く見切りをつけるべきだとの考えを明言した。
 EU議長国フィンランドのアンティ・リンネ首相は九月中旬、「これから起きる・・・