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連載

をんな千一夜 第31話

「粉屋の娘」を庇った華族令嬢
石井 妙子

2019年10月号

《白洲正子》

「粉屋の娘」を庇った華族令嬢

二〇〇〇年、森喜朗首相は「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国」と発言して世間から激しく非難された。それから約二十年、果たして今、非難の声は上がるのか。「日本いい国、清い国。世界に一つの神の国」といった戦前の価値観が息を吹き返しているかに見える。安倍晋三首相お気に入りの三原じゅん子参院議員は、「八紘一宇の精神」と息巻き、神武天皇は実在したと言い張る。隣国を悪しざまに侮蔑して留飲を下げる議員、マスコミ、国民。これが神の国なのか。
 今秋の十月には「即位の礼」、十一月には「大嘗祭」が執り行われる。おそらくメディアは、「古式ゆかしい日本の伝統行事」とまた、騒ぎ立てることだろう。だが、即位の礼も、現在のような大掛かりな大嘗祭も、決して長い歴史を持つ儀式ではない。明治期に急ごしらえで作られたものだ。が、そんなことを指摘する識者もいなくなってしまった。白洲正子が生きていたらと、つい考えてしまう。
 日本美の追求者。骨董や古典文学、能を語った随筆で知られ・・・