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経済

《企業研究》関西電力

「同和」「北朝鮮」「自民党」 高浜原発の暗黒史

2019年11月号

「事実であれば言語道断。由々しき事態だ!」
 原発をめぐる関西電力の役員ら二十人の金品受領が明らかになった九月二十七日、経済産業相・菅原一秀(当時)の第一声を聞いて、多くの電力関係者の脳裏をよぎったのは、二〇〇二年の東京電力の原子力不祥事だろう。原発部材のひび割れの隠蔽が発覚、当時の経産相・平沼赳夫の同じ「言語道断」のひと言で、東電の歴代四社長は辞任に追い込まれたのである。
 今回も関電相談役の森詳介、会長の八木誠、社長の岩根茂樹の即時辞任は必至と誰もが思った。しかし、自身が醜聞まみれの軽量大臣の上滑りな発言をよそに、経産省の動きは鈍い。十七年前の「東電の首を取りにいく」といった果敢さは感じられなかった。
 実際、関電首脳は九月二十七日、十月二日の二回の記者会見でも辞任を否定、逆に高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役・森山栄治(故人)を、同和渡世の“悪人”に仕立て、森山から贈られた三億二千万円相当の金品は「恫喝の道具だった」として被害者を装ったのだ。この関電の奸佞な弁解は世論の惻隠どころか、義憤を招いた。一週間後の十月九日、八木が・・・

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