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経済

地方放送局 「再編」は待ったなし

延命の道は「地域連合」のみ

2020年1月号

 日本民間放送連盟のシンクタンク「民放連研究所」が、地方局の経営に対する強い危機感から、「ローカル民放研究会」を立ち上げた。十一月二十九日、約二百人の参加者が集まった初会合で基調講演を任されたのが、山陰放送の坂口吉平社長(六十)だった。老舗の放送局の中でも名門として知られ、鳥取と島根両県を放送エリアとするTBS系列のテレビ、ラジオ兼営局だ。このエリアには、他にフジテレビ系列の山陰中央テレビと日本テレビ系列の日本海テレビがあり、民放は計三局だ。
 山陰放送は、電波行政を長年牛耳ってきた島根県出身の竹下登元首相のお膝元として、放送界でも発言力を持っていた。だが、少子高齢化が容赦なく襲いかかり、スポットCMの出稿料は激減。一八年度決算では売上高約四十一億円、最終利益は一・五億円。社員数百二十人。薄氷の経営と言っていい。
 講演を聴いた地方局関係者によると、その山陰放送を十二年間率いる坂口氏は「放送業界の常識を超えた画期的な提案」(民放連幹部)をぶち上げたという。系列を超えた「地域メディアコンツェルン」を設立し、民放テレビ、民放ラジオ、ケーブルテレビ局、広告代理店、制作会社・・・