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経済

三菱UFJ「異例の新社長」の難路

メガ銀トップ奪還への「重い課題」

2020年2月号

 
 「あまりに不規則な人事を続けていると、遠からずみずほのようなカオス状態に陥ってしまうのではないか」。旧三菱銀行OB幹部の一人がこんな不安を口にする。
 みずほではグループ発足以来、経営の主導権を巡り、旧三行が十年近くにわたって内部抗争を繰り広げた。将来のトップマネジメントの担い手となるべき人材のキャリアパスも確立できておらず、自薦・他薦のトップ候補が乱立してそれぞれが一派を形成。これらが派閥争いに明け暮れたことで、組織と企業統治の混乱にさらに輪をかけるといった「醜態」(旧第一勧業銀行OB首脳)も演じた。
 その対極にあるとされてきたのが三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)だ。早くから「プリンス」と呼ばれる人材を選別して企画や人事といった経営の中枢部門に配し、英才教育を施して帝王学を身につけさせる。周囲も当然のようにその人材をもり立てようとするから陰惨な権力闘争もほとんど起こらず、従って派閥も生まれない。社内の秩序や規律を重んじる、まさに「組織の三菱」の面目躍如ともいえる「後継者育成システム」(MUFG幹部)をつくり上げて・・・

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