三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

インド政府お抱え 「暴力組織」の猛威

「宗教対立」優先で停滞する経済

2020年2月号

 インドの大学で、棒や石で武装した覆面部隊がキャンパス内に潜入して、左派系や反政府派の学生に暴行する事件が頻発している。ナレンドラ・モディ首相率いる「インド人民党(BJP)」傘下の、極右団体「民族義勇団」が主導しているもので、地元警察がこれに全面協力するため、官製の愚連隊として暴れまくっている。
 各種市民団体の反発は強く、特に女性団体は首都ニューデリーやムンバイ、コルコタなど全土で、ノンストップの反政府デモを続けている。首相は昨年、「改革」「インド躍進」を掲げて再選されたが、ヒンドゥー至上主義ばかりが先行し、経済の近代化や社会改革は大幅に遅れている。
 騒乱の発端は、インド屈指の名門大学「ジャワハルラル・ネルー大学」(ニューデリー)で、一月五日の午後七時ごろ、起こった。警察官の手引きで、黒覆面の武装集団(女性も含む)が五十人ほど、構内に入った。この後、何者かが各門を閉めた。覆面集団は、「お前はアカだ」などと叫んで、学生や教員に鉄棒で襲い掛かり、投石した。
 あっという間に広いキャンパスは恐怖に包まれた。覆面集団は極右スローガンを叫びながら学内を彷徨。門が・・・