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政治

首相補佐官 「和泉洋人」の末路

不倫より重い公共事業での罪状

2020年3月号

 霞が関を牛耳る官邸官僚たちの中でも、和泉洋人首相補佐官は政権直轄案件を省庁の命令系統を超えたやり方で処理する「アングラ権力者」として七年以上も強権を振るってきた。だが、その命運も尽きようとしている。厚生労働省の医系技官で、自ら抜擢した大坪寛子官房審議官との不倫疑惑を「週刊文春」から毎週のように「砲撃」され、ついに安倍晋三首相の注意を受けた。ただし不倫はまだ疑惑止まり。通常ならこれで幕引きだが、和泉氏に積年の恨みを抱く政府関係者は数知れず、内部告発がやまない。しかも背後に、菅義偉官房長官「直系」の和泉氏を攻撃して、強くなりすぎた菅氏の権勢を削ごうとする政局絡みの策略が動いている。和泉氏が失脚を逃れる道は狭く暗い。
 それにしても「文春砲」は物足りない。出張先でひとつながりの隣部屋に泊まったの、京都の甘味処であーんしたの、腕を組んだのと思わせぶりだが、不倫を裏付ける決め手はない。高額旅費の無駄な出張が多く、パワハラ体質なのは分かるが、いかにもせこい。不倫疑惑は恥をかかせるだけで、「権力者」和泉氏の本質的な罪状に全く踏み込もうとしない。何とも不自然な報道である。
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