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トランプ再選を阻む「感染爆発」

民主党「医療保険拡充」に高まる支持

2020年4月号

 新型コロナウイルスが、十一月の米大統領選の行方を左右する決定的要因に浮上した。米国の感染者数が急上昇する中で、トランプ大統領の場当たり対応が、次々とほころびを見せている。世界一高額な医療制度に不安を抱く国民も急増中で、民主党が掲げる「医療保険拡充」の訴えに、党派を超えた注目が集まり始めた。
 三月十一日。日本では東日本大震災の日として忘れがたいが、今年は米大統領選でも「節目」になりそうな事件が起きた。
 トランプ大統領が、コロナウイルス感染拡大を受けて、夜九時に全米向けにテレビ演説を行った。大統領はアドリブでしゃべりまくるのは大好きだが、カメラに向けて訴えるのは嫌いで、プライム・タイムのテレビ演説は、これが二〇一七年の就任から二度目だった。
 演説は「ヨーロッパからの入国禁止」など衝撃的な内容だったが、最大の目的を果たせなかった。米国の視聴者は、「そんな大変なことが起きているのか」とショックを受けるあまり、目の前の大統領が、信頼に足るのか否かの判断を下しかねたのだ。
「歴代大統領はテレビ演説を、『今は大変な時だが、自分に任せてほしい』と訴えるた・・・