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経済

「重症化」日本経済への処方箋

弱点克服で「再成長」する政策を

2020年4月号

 コロナウイルス感染がもたらした経済への打撃は「世界恐慌」に近いものになってきた。感染の出口が見えない中、日本でも緊急経済対策として現金給付が具体化しつつある。だが、消費者に悲観と不安が広がる中で、現金を給付しても需要創出にはならない。むしろ政府主導で未来につながる分野、プロジェクトにこそ政策的に資金を投じるべき時だ。例えば、大学の理工系学部の学費無償化や5Gなどデジタル基盤に大胆な資金投入をすることで、日本は危機を成長のチャンスに転換できる。
 安倍晋三首相とトランプ米大統領らが口火を切った国民への現金直接給付は、「ヘリコプターマネー」として知られている。当初はデフレ対策としてミルトン・フリードマンらが提唱した。国民の手元流動性を人為的に増やせば、人はモノやサービスの消費に向かい、景気は上向くという単純明快な理屈だ。
 同様の有効需要創出策として、一九二九年に始まり、第二次世界大戦まで続いた「世界恐慌」に対処した大規模なインフラ建設など公共事業がある。フランクリン・ルーズベルト大統領の採った「ニューディール政策」である。今回の“コロナ大恐慌&rdquo・・・