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経済

東京電力「会長空席」の裏事情

守旧派残党と経産省の相克の果て

2020年7月号

「国からも産業界からも見放されたか……」
 福島第一原発の十六兆円に上る事故債務を抱えながら、会長空席となった東京電力ホールディングス―。六月二十五日の株主総会前には不安と諦念が広がっていた。
 東電の顔である会長は、川村隆氏(日立製作所名誉相談役)の後継人事が難航し、有力候補が次々と消える中、最後の切り札として期待されたのは日本製鉄の宗岡正二相談役だった。一時は本人も東電の実情を勉強していたという。
 しかし、人事を預かる経済産業省の安藤久佳事務次官は、鉄鋼課長時代から宗岡氏と旧知であるにもかかわらず、積極的に動いた形跡はない。なぜなら、東電守旧派の残党が政財界にこんな誹謗中傷を繰り返していたからだ。
「役人OBが牛耳るような会社で、まともな経営はできませんよ」
 役人OBとは、前経産次官の嶋田隆氏を指す。公的管理となった東電へ乗り込み、守旧派と苛烈な暗闘を展開しつつ、中部電力と包括提携を結ぶなど東電の現体制を築いた人物であることは周知の通り。その後も嶋田氏は東電改革に強い情熱をもち、今回、新会長をサポート・・・