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WORLD

米中「技術覇権」を巡る乱闘

日台韓も道連れ「半導体戦争」が拍車

2020年7月号


 世界の目が新型コロナウイルス感染に向いている間に「米中新冷戦」が日本、欧州、台湾、韓国などを巻き込んだ「IT世界大戦」に拡大した。中国経済のこれ以上の台頭を抑え込もうとするトランプ政権にとって切り札は半導体。スマホから自動運転、AIまで世界のトップ集団を走る中国製造業も半導体では「第二集団」に過ぎず、最先端製品、製造設備、材料は大半を外国メーカーに依存している。半導体の〝兵糧攻め〟こそ中国経済潰しに最も効果的だからだ。だが、中国市場の獲得が成長のカギとなる世界各国の半導体産業は米国に面従腹背。米中双方を手玉に取りながら、主導権を狙う多国間の暗闘が始まった。
 五月十三日、米国は政府機関や国内企業が安全保障上のリスクのある外国企業から物品を調達することを禁じる大統領令を一年間延長すると発表した。連動して商務省のエンティティ・リスト(米国の利益に反する企業・個人のリスト)も修正され、中国のファーウェイ及び関連企業百十四社からの調達と逆に半導体など先端技術関連製品の輸出が事実上、禁止された。
 トランプ大統領によるファーウェイ・バッシングは執拗に続き、スマホ・・・