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政治

開成悲願「卒業生総理」の夢は散る

《政界スキャン》

2020年8月号

 歴代首相の出身大学を人数の多い順に並べてみる。
 ①東京大学(十九人)②早稲田大学(七人)③京都大学(五人)④慶応大学(四人)
 何ともつまらない結果だが、これを出身高校までさかのぼると、意外なリストが現れて、政界の隠れた一面がのぞく。
 ①三人=学習院高等科(麻生太郎、細川護熙、近衛文麿)
 ②二人=麻布高校(橋本龍太郎、福田康夫)、群馬県立高崎高校(中曽根康弘、福田赳夫)、島根県立松江北高校(竹下登、若槻礼次郎)、山口県立山口高校(佐藤栄作、岸信介)
 他は一校一人ずつ。
 複数の首相を出した高校の卒業生で、東大卒は中曽根、福田赳夫、若槻、佐藤、岸。全員官僚出身で中曽根が一番若い。これは、官僚出身者が首相になれなくなった政界の変質を映し出している。
 非東大卒の残る六人は、竹下を除けば、旧華族か二世・三世議員という政治の家柄の出だ。政界でトップに上り詰めるには、血統や門地がモノを言う現実があることは否定しがたい。
 安倍晋三首相や麻生太郎副総理・財務相が、政治の家系を重んじて、東大卒に代表される学歴を・・・