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政治

「ポスト菅」が皆消えた

唯一人「安倍」だけが意欲満々

2020年11月号

 第九十九代内閣総理大臣に就任した菅義偉は、これまで誕生したどの首相にもない独自色を存分に発揮している。ただし、政策の遂行や政権運営をめぐる取り組みではない。菅のライフスタイルの特異性である。そのことを浮き彫りにするのが新聞朝刊に毎日掲載される首相動静記事だ。
 それによると、菅は午前七時前には東京・赤坂の議員宿舎を出て首相官邸に向かう。まず官邸の敷地内で数十分間散歩をした後に官邸を出る。行き先は官邸に近い永田町の「ザ・キャピトルホテル東急」か、虎の門のホテル「The  Okura Tokyo」。そのいずれかのレストランで秘書官や面会者と朝食を取る。
 執務時間中に衆議院第二議員会館にある個人事務所に立ち寄る頻度も極めて高い。菅は独特のライフスタイルについてこう説明したことがある。
「官房長官時代の生活のリズムをそのまま続けているだけだ」
 しかし、結果として日本の国家運営の舵取りを担う最高司令官が日に何度も官邸を空けることになる。国の危機管理上の危うさが付きまとう。菅をよく知る自民党長老のひとりも眉を顰める。
「総理になった・・・