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中国がバイデンに挑む「海の対決」

尖閣・台湾で「地図書き換え」の野心

2021年2月号

 中国という国は、狡猾なのか愚昧なのか分からない。
 米国のジョー・バイデン新大統領に、「仲良くやりましょう」と秋波を送りながら、台湾海峡で劇的に軍事緊張を高めている。これでは新政権が中国政府との関係改善に乗り出せるわけがない。
 習近平国家主席は、台湾に対し最大限の軍事的圧力をかけ続ける構えで、サイバー攻撃は激増している。米インド太平洋軍との偶発的衝突への懸念も高まっている。中国はまた、南シナ海でもベトナムなどへの圧力を強めており、バイデン政権は早々に、中国との「海の対決」を迫られている。

中国軍に歯止めがきかない怖さ

 バイデン政権は一月二十日の発足初日に、中国に強烈なシグナルを送った。大統領就任式に、台湾の駐米代表にあたる、蕭美琴・駐米台北経済文化代表処代表を招いたのだ。一九七九年に台湾と断交して以来初、という歴史的事件だ。
 蕭氏は一九七一年に神戸市で生まれた。父は台湾人、母は米国人。蕭氏は、中国語、台湾語、日本語、英語を自由に使い分ける。蔡英文総統率いる民進党では、華や・・・