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経済

北尾SBIと菅政権に「隙間風」

地銀デジタル化の主軸から外れる

2021年2月号

 総理大臣・菅義偉の肝煎りの政策には、自身の思い入れがあるもの以上に、取り巻きの民間人が利害関係のある分野で「入れ知恵」をして動いたものが目立つ。その一つである地方銀行の統合・再編に関し、「知恵袋」が主要事業から外される事態が起きている。背景には、新型コロナウイルス感染拡大への対応のまずさから内閣支持率が急落し、政権基盤が揺らいでいることがある。
 昨年暮れ、金融庁長官の氷見野良三は再三、菅に会うために総理大臣官邸を訪れ、「面倒な問題」を切り出すタイミングを探っていた。それは、菅が昨年九月の自由民主党総裁選挙の際に、「菅印」の政策として打ち出した地銀の統合・再編に関する問題だった。
 東京一極集中による地方企業の衰退、少子化と高齢化による地方の活力の減退、そして長きにわたる超低金利で地方の金融機関は疲弊し、統合や再編が生き残りのカギになると言われて久しい。この問題は、菅が総裁選の論戦で「地方銀行の数は多すぎる」と発言してから、広く関心を集めるようになった。突然退陣した安倍晋三の後継として最有力候補に躍り出た菅に地銀の統合・再編の必要性を説いたのが、ネット銀行などを手・・・