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韓国が「対中包囲網」参加の意向

中国の「激怒」に耐えられるか

2021年3月号

 親中国の傾向が強く、対中包囲網への参加を拒んできた韓国の文在寅政権が、バイデン米政権の発足を機に、日米を中心とした「自由で開かれたインド太平洋」構想に協力する方針へと転換したと韓国政府関係者が本誌に明らかにした。
 残り一年余りとなった任期中に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の訪韓という文政権の悲願を実現させるためには、バイデン政権の協力が不可欠との判断からだという。
 文政権の「変化」の一端がうかがわれたのが、二月四日に行われた文大統領とバイデン大統領との初の電話会談だった。
 韓国大統領府によると、三十二分間の会談で両首脳は、「価値を共有する同盟国として、朝鮮半島とインド太平洋地域の協力を超え、民主主義、人権、多国間主義の増進に寄与する包括的戦略同盟として韓米同盟を引き続き発展させていくことにした」という。
 韓国政府関係者によると「インド太平洋地域の協力」こそが「自由で開かれたインド太平洋」構想を実現するのだという。この構想は、中国が南シナ海で人工島を軍事拠点化するなど強引な海洋進出を進める中で中国包囲網を形成しようとするものだ。
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