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北京五輪「強行」習近平の妄執

人権犯罪で「ボイコット」は広がるか

2021年3月号

 日本では飽きもせずに東京五輪・パラリンピックの組織委員会問題にかまけていた間に、世界の関心は次の北京冬季大会に移りつつある。中国は威信をかけて強行するつもりだが、人権問題や新型コロナの障害が待ち受け、すんなり開催できる可能性は極めて低い。
 中国の習近平国家主席は今年最初の視察先に、開催まで残り一年に迫った北京冬季五輪・パラリンピックの会場予定地を選んだ。一月十八日から二日間を費やし、市内郊外にあるスケート会場のほか、約二百キロ離れた河北省張家口市のスキー会場を訪問。代表選手やコーチに「国のために必ず栄光を勝ち取れ」と奮起を促し、人民大会堂に大会関係者を集めて「北京冬季五輪の開催は党と国家の一大事であり、国際社会に対する厳かな約束だ」と発破をかけた。
 習氏自ら会場を視察し、断固開催を命じたことは、中国が退路を断ったことを意味する。一月二十五日には国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長との電話会談に臨み「北京冬季五輪の開催に向けた条件は整った。さまざまな準備を必ず予定通り進め、五輪成功を確実なものにする」と大見得を切った。
 新型コロナ対応が比較的・・・