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連載

広告を裏読みする 第28話

ネット広告が直面する「二つの壁」

2021年4月号


 わが世の春を謳歌するように拡大を続けてきたネット広告業界に、暗雲が垂れ込めつつある。
 日本のネット分野における年間広告費が、テレビ広告を上回ったのは二〇一九年だった。ネット広告は前年比で一気に二千五百億円も伸長し、前年から落ち込んだテレビを一気に抜き去ったのだ。電通関係者が語る。
「ネットとテレビの逆転は早晩起きると思われていたが、時期は業界で予想されていたよりも早かった。その勢いは昨年も維持された」
 今年二月下旬に電通が発表した昨年のデータでは、ネットの年間広告費は前年比一〇五・九%の二兆二千二百九十億円になっている。
 一方、テレビ広告は一兆六千五百億円と前年比で一一%も減少した。テレビと新聞、雑誌、ラジオという「マスコミ四媒体」の広告費全体で二兆二千五百三十六億円に留まっており、ネット単体で四媒体に匹敵する規模にまで伸びているのだ。旧メディアの落ち込み要因が新型コロナウイルスの感染拡大にある一方で、ネットへの影響は限定的だったことがわかる。全国紙の広告部門関係者が嘆く。
「新型コロナをきっかけに広告を手控えた企業・・・