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経済

《地方金融の研究》三十三銀行

2行合併「視界不良」の船出

2021年4月号

「御三家」「三種の神器」に「三位一体」……。日本では古来、「三」という数字はとりわけ縁起が良いとされてきた。そもそもが奇数。偶数のように割り切れず、「縁」が切れないことを想起させるうえ、最初の奇数である「一」と最初の偶数である「二」を合わせた「三」は「調和を表す」とも言われる。「三」の読み「みっつ」が「満(充)つる」に通じるという語呂合わせからも好まれて使われるようだ。
 そんな「三」に満ち満ちた銀行が今年五月一日、船出する。三重銀行と第三銀行が持株会社・三十三フィナンシャルグループ(FG)の下で合併して誕生する「三十三銀行」―だ。
 行名ばかりではない。新銀行の初代頭取に就任する予定の渡辺・三重銀頭取兼三十三FG社長の下の名前は「三」憲。新銀行発足とともに特別顧問に退くとはいえ、旧大蔵省出身で第三銀現会長の谷川氏は同じく憲「三」。まさに「三」づくしといったところか。
 もっともこうした縁起物の数字とされる「三」も旧日本海軍関係者らの間では蛇蝎のごとく忌み嫌われていたという。末尾に「三」の付く潜水艦で不幸な事故が相次いだためだ。・・・