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経済

日本電産「中小メーカー潰し」の冷酷

永守CEO退任でも続く「強欲主義」

2021年5月号

 日本電産の業績がコロナウイルス感染下でも絶好調だ。二〇二一年三月期決算は売上高が過去最高で、増益も確保。電気自動車(EV)用駆動モーターなど車載製品需要が中国市場で拡大、パソコンなどリモートワーク関連の電子機器向けも伸びたからだ。この機を捉え、創業者の永守重信会長はCEOを関潤社長に譲ると発表、経営体制は売上高十兆円を目指し次世代に向かう。だが、成長を支えるのはM&Aと他社が開拓した新市場への後発参入で、独自技術は薄い。「日本電産栄えて、日本のモノづくり廃る」となる懸念が広がっている。
 日本電産の二一年三月期決算は売上高が前期比五・四%増の一兆六千百八十億円と過去最高を記録、営業利益は一千六百億円と四七・四%増の驚異的な伸びとなった。コロナ感染で年度の前半に低迷した業績は後半に一気に盛り返した。
「家電・商業・産業用」がコロナをむしろジャンプ台として成長、得意の精密小型モーター、車載も売り上げを伸ばした。目を引くのは「車載」は増収だが、減益という点。中国EVメーカーの開拓が進むが、競争激化で利益が落ち込む構図だ。必ずしも永守会長の思い描く通りには進んでいない。{・・・