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WORLD

世界混沌の「ワクチン分配」

米中対立で遠のく「コロナ終息」

2021年8月号特別リポート

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中で、「コロナ後」の国際秩序が次第に姿を現した。
 ジョー・バイデン大統領の米国は、医療と科学で依然世界をリードするものの、国内でのワクチン接種が停滞し、国際的指導力を発揮できずにいる。
 習近平国家主席が率いる中国は、声高に「我が国はコロナに勝利した」と唱え、世界に影響力を拡大しようとしているが、中国産ワクチンや中国の政治経済モデルは、世界中で信頼を確立するのにほど遠い。もう一つのワクチン生産国ロシアは今夏、国内での感染拡大を抑えられず、海外での影響力をジワジワと失っている。
 三国に続く日本と欧州連合(EU)では、自国の科学技術力や医療体制の弱点があらわになった。新秩序作りを引っ張るには、全くの力量不足であることを露呈した。
 米国と日欧の同盟網は、辛うじて主役の座を明け渡さないだけで、本来の役割を果たせない。追う中国にも、覇を唱えるだけの国力やビジョンはない。「主」のいない、秩序なき新秩序で、パンデミック克服の道は開けるのだろうか。

「中国頼み」の国々で起きた惨状・・・