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経済

楽天にタカられる日本郵政

筋悪提携で消失する「国有財産」

2021年9月号

 この夏、都内十カ所の郵便局に楽天モバイルの店舗がオープンした。設置されたブースで楽天モバイルの店員が、携帯電話の契約を呼びかけた。日本郵政の幹部社員が語る。
「軒先を貸したが、こちらの実入りは大したことがない。あちらさんだって大量契約はとれてない」
 八月末までの期間限定ショップは、日本郵政と楽天グループの提携を象徴する取り組みだったが、鳴かず飛ばずだった。総務省の郵政系キャリア官僚の一人は、首を傾げる。
「結局、楽天との提携で日本郵政側のメリットが見当たらない」
 総務省でさえこの調子なのだから、当事者である日本郵政社内には戸惑いが広がるばかりだ。同社傘下の日本郵便と楽天が提携を発表したのは昨年の年の瀬も押し迫った十二月二十四日のこと。半年以上が経過して、徐々に提携の形が具現化してきたが、その効果は見えてこない。後から振り返れば、楽天との提携は日本郵政にとって「悪夢のクリスマス・プレゼント」になりかねない。

物流事業が「お荷物」に

 日本郵政の直近の業績は、一応、回・・・