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経済

《企業研究》オーケーとH2O

関西スーパー争奪の「泥仕合」

2021年12月号

「あんなこと言わなければよかったのに。本当に恥ずかしい」。関西スーパーマーケットのある社員は十一月二十二日の夕刻、こう天を仰いだ。「あんなこと」とは、関西スーパーの福谷耕治社長が十日の決算会見の場で話した「一点の曇りもなく全く問題ない」という言葉だ。  
 二十二日、神戸地裁は、関西スーパーが阪急阪神百貨店などを運営するエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)傘下に入るための株式交換を差し止める仮処分申請を認めた。その理由は株式交換議案を諮った臨時株主総会の決議に「法令違反または著しい不公正」があると判断したからだ。  
 企業の再編に裁判所が待ったをかけるという前代未聞の事態。差し止めを申請していたのは、関西スーパーに対抗買収提案を出していた首都圏地盤のディスカウントスーパー、オーケー(神奈川県横浜市)だ。  
 オーケーは、十月二十九日に開催された関西スーパーの臨時株主総会で、票の不公正なカウントが行われた結果、株式交換議案が可決されたと訴えていた。福谷はオーケーが神戸地裁に差し止めの仮処分申請をした十一月九日の翌日、自らが議長を務めた臨時株主総会の・・・