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社会・文化

オミクロン株「脅威論」の虚と実

なぜかアジアで感染拡大せず

2022年1月号

 オミクロン株の感染が拡大している。米疾病対策センター(CDC)によれば、二〇二一年十二月十八日までの一週間に新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染と診断された症例の七三%はオミクロン株だった。十一月に南アフリカでオミクロン株が検出され、米国では十二月一日に南アからの帰国者の感染が確認された。それから三週間弱で従来のデルタ株を置き換えてしまったことになる。脅威の感染力だ。
 日本にもその影はひたひたと迫っている。十一月二十八日にナミビアから入国した外交官の感染が判明し、十二月二十二日には大阪で海外渡航歴がない三人家族の感染が確認された。さらに翌二十三日以降は京都、大阪、東京などで次々に確認された。感染力を考慮すれば、オミクロン株による第六波が発生するのも時間の問題と考えてもおかしくない。
流行しない可能性
 日本でオミクロン株が流行した場合、どの程度の被害が出るかは予想するのが難しい。南アの国立感染症研究所などのチームは、十月一日から十二月六日までにコロナ感染と診断された十六万一千三百二十八例を解析した。それによればデルタ株感染者の入院率が一二・八%であっ・・・